尖閣諸島の自然に関する資料
尖閣諸島の陸で暮らす生き物たち


尖閣諸島の自然に関する資料




尖閣諸島魚釣島の生物相と野生化ヤギ問題

http://home.hiroshima-u.ac.jp/heiwa/Pub/42/16Yokohata.pdf


  横畑泰志 
  (富山大学理学部生物圏環境科学科準教授) 
  横田昌嗣 
  (琉球大学理学部海洋自然科学科教授) 
  太田英利 
  (琉球大学熱帯生物圏研究センター教授) 



   はじめに 

  尖閣諸島は南西諸島西表島の北方,北緯 25゜44'.66' , 東経 123゜28'の大陸棚の上に位置する
島嶼群で、沖縄県石垣市に属し、魚釣島、北小島、南小島、久場島(黄尾礁)、大正島(赤尾礁)
の 5つの島嶼といくつかの岩礁から成っている.このうち魚釣島は八重山諸島から 150 km、台湾か
ら 190 km、ユーラシア大陸東岸から 350 km の距離にあり(黒岩、1898;初島、1991)、この諸島
の中で最も大きいが、それでも面積はわずか3.8 km2 に過ぎない。この島では現在人為的に持ち込
まれたヤギCapra aegarusが著しく増加しており、数百頭に及ぶまでになっている。シカ類やヤギな
どの有蹄類が増殖したいくつかの島嶼では、採食圧や踏圧によって植生が破壊された例が知られて
いる(IUCN/SSC,1984など)。特にヤギによる採食は非常に幅広い植物種のあらゆる部位に及ぶた
め、島の生物相や生態系にとりわけ大きな影響が及ぶことがある(IUCN/SSC,1984)。魚釣島にお
いてもヤギが島の生物相や生態系に大きく影響していることが懸念されるが、主に中国や台湾の領
有権の主張(緑間、1998;村田、2004)に対する日本政府の対応が、現状把握のための調査やヤギ
の除去などの対策を極めて困難にしてきている。 

  本稿では、まず魚釣島の生物相について概観する。次に、魚釣島へのヤギの導入の経緯、および
この島の生物相に野生化したヤギがもたらしていると予想される影響について論議し、最後にこの
問題について研究者を中心に行われてきた取り組みを簡単に紹介する。島の生物相やヤギの影響に
関する記述のうち、爬虫類相に関する部分は太田、植物相に関する部分は横田がそれぞれ担当し、
その他の部分は主として横畑が担当した。



  1. 魚釣島の生物相

a.全般
 魚釣島は東西に長い楕円形で北側は緩斜面、南側は大半がより急峻な斜面で、切り立った断崖と
なっている箇所も少なくなく、時おり崖崩れが発生する。島の大半が礫(れき)質砂岩からなり、
海岸には完新世に隆起したサンゴ礁からなる石灰岩が散在する(野原、1971)。北側の斜面のほと
んどと南側の斜面の一部は森林に覆われており、その大部分でヤシの一種であるビロウLivistona 
chinensis var. subglobosaが優占している。周辺の海水温度が高く、面積が狭い割には島の最高峰
の奈良原岳の山頂は362mと高いため、島の中腹部から上には霧がよくかかり、湿潤熱帯域の雲霧林
(常に霧のかかる環境下で適度な湿度と冷気のため蘚苔類や地衣類の密生した森林)に似た雲霧帯
が発達している。斜山頂部の雲霧帯にはアマミアラカシ林が見られ、一方、海岸の岩礁には草本の
群落や海浜低木群落が発達する(新納、1964;新納ら、1971;新納・新城、1980)。新納・新城
(1980)は魚釣島の植生図を作成し、この島の植物群落を17の型に分類した。

  南西諸島のうち屋久島や種子島と奄美大島の間にあるトカラ海峡以南の琉球列島弧の島々は、少
なくとも更新世の初期以降、それより北のどの地域と較べてもより長い間他の陸地から独立してき
た。これに対して尖閣諸島、特に大陸棚上に位置する魚釣島は、 それらの島々とは異なる独自の地
史的経過を辿ってきている。 すなわち氷期の気温低下による海水面の低下や地殻そのものの変動に
ともない、 更新世に入ってからも何度か大陸と接続したことがあり、その最も新しい接続は約2万
年前を最寒期とするウルム氷期に起きたとされている(例えばOta,1998;木村、2002)。こうした
経緯によって、尖閣諸島の生物のいくつかは中国大陸南部や、それと頻繁に接続してきた台湾の生
物と類縁関係が深いとされている。一方で、後述するように尖閣諸島には種や種内の遺伝学的変
異、植物では変種などの様々なかたちで固有性を持った生物が数多く分布している。そうした固有
性がどのようにして成立してきたかは今後の研究に委ねなければならないが、それが今日まで維持
されてきたことには、他の陸地から遠く隔たっているため長い間人間の活動の影響が少なかったこ
と、周辺の海水温度が黒潮の影響などによって同緯度の他の海域より2℃ほど高いこと(西島ら、
1982)なども関係していると考えられる。特にこの諸島中最大の島嶼である魚釣島は、これまで断
片的な調査しか行われていないにも関わらず、多くの固有種、固有変種を擁しており(表1)、他の
極めて小規模な島嶼よりも豊かな生物相が見られる。以下にその特徴を哺乳類相、爬虫類相、その
他の動物相および植物相について紹介する。



表 1.尖閣諸島魚釣島の固有生物
類群 
和名および学名
出典 
脊椎動物  センカクモグラ Mogera uchida Abe et al.(1991),Motokawaet al.(2001)
節足動物  センカクキラホシカミキリ Gleneamasakii 屋富祖ら(2002)
センカクズビロキマワリモドキGnesis senkakuensis 屋富祖ら(2002)
ウオツリナガキマワリ Strongylium araii Chujo(1979,1980)
オキナワクロオオアリ Camponotus sp.  屋富祖ら(2002)
センカクサワガニ Geothelphusa shokitai  Shy and Ng(1998)
等脚類の1種 Trichoniscus sp. Nunomura(1983a)
等脚類の1種 Alloniscus sp. Nunomura(1983b)
軟体動物 タカラノミギセル Zaptyx takarai 波部(1979)
タカラホソマイマイ Buliminopsis takarai 沖縄県(2006a) 
維管束植物  センカクアオイAsarum senkakuinsulare  沖縄県(2006b)
センカクオトギリ Hypericum senkakuinsulare  沖縄県(2006b)
センカクハマサジ Limonium senkakuense 沖縄県(2006b)
固有変種維管束植物 センカクツツジ Rhododendron simsii var. tawadae  沖縄県(2006b)
ムラサキチヂミザサ 
Oplismenus compositus var. purpurascens 
沖縄県(2006b)
(魚釣島にはこの他にも、別の島嶼にも分布するが尖閣諸島固有の種が多数存在する(本文参照)。) 

b.哺乳類相

 魚釣島の陸生動物のうち哺乳類相については、外来種を除くと固有種センカクモグラおよびセス
ジネズミApodemus agrariusが分布し、その他にクビワオオコウモリPteropus dasymallusの記録が
ある(高良、1954;池原・下謝名、1971;白石・荒井、1980;Abe et al.,1991)。センカクモグ
ラは1979年の調査の際に1頭のみが捕獲され、Abe et al.(1991)により記載された。日本産モグラ
類の歯数には種内変異が極めて少ないことから、従来その分類には歯の数が重視されることが多か
った(例えば、阿部、1998)。センカクモグラは他の種に較べて吻部が細長く、上下顎の前臼歯の
数が3対に減少しており、これまでに知られているモグラ科のどの属とも異なることから、記載時に
は新たにセンカクモグラ属Nesoscaptor が提唱され、N. uchidaiと命名された。これに対し、
Motokawa et al.(2001)はこの種の頭骨の形態が台湾や中国南部に生息するタイワンモグラ
Mogera insularis に酷似しており、タイワンモグラでは歯数にかなりの種内変異があることから、
1個体の歯数のみに基づいて新属を設けることはできないとして、センカクモグラ属をタイワンモグ
ラの属するニホンモグラ属Mogera の下位同物異名とした。ニホンモグラ属には他に数種が含まれて
いるが、その中でも特にこの2種は類似している。セスジネズミは大陸ではごく普通に見られるが、
国内ではこの島のみに分布する(白石ら、1977)。センカクモグラとセスジネズミの2種は日本哺乳
類学会(1997)によってそれぞれ危急種と希少種に指定され、さらにいずれも環境省(2002a)や沖
縄県(2005)のレッドリストでは最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧 IA 類に指定されている。地下
性のモグラ類は一般に温帯の豊富な土壌層に適応した動物とされ、土壌の発達の良好でない熱帯や
亜熱帯域の低地には通常分布しない。亜熱帯域の魚釣島にセンカクモグラが分布するのは、島の中
央部にある冷涼な霧雲帯が生息に適しているためではないかと考えられている(阿部、1998;環境
省、2002a)。

c.爬虫類相

 魚釣島産の爬虫類としては、これまでトカゲ類2科3属3種(ミナミヤモリGekko hokouensis、アオ
スジトカゲPlestiodon elegans、スベトカゲの1種Scincella sp.)、ヘビ類も同じく2科3属3種(ブ
ラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus、シュウダElaphe carinata carinata、アカマダラ
Dinodon rufozonatum rufozonatum)が知られている(池原・下謝名、1971;白石・荒井、1980;
Ota et al.,1993)、このほか高良(1954)はホオグロヤモリHemidactylus frenatusが同島の森林
に生息するとし、宮島(1901)、高良(1954)、池原・下謝名(1971)は魚釣島、南小島、久場島
(黄尾礁)の爬虫類としてオキナワトカゲEumeces marginatus (= Plestiodon marginatus)を挙
げ、池原・下謝名(1971)はこれらの島からニホンヤモリGekko japonicusも報告している。しかし
これらはすべて標本の誤同定、産地の誤記、ないし不正確な分類体系の採用に由来する誤認と思わ
れる(Ota et al.,1993)。さらに白石・荒井(1980)は1979年の調査で採集されたマダラヘビ属
Dinodonの1種と思われるヘビについて未同定のまま写真で紹介しているが、該当する標本の形態的
特徴を直接調べたところ、このヘビはアカマダラの色彩変異個体であることがわかった。同様の色
彩変異個体は宮古・八重山諸島に分布する別亜種サキシママダラD. rufozonatum walli内にも生じ
ることが確認されている(太田、未公表)。 

  魚釣島での分布が確認されている上記6種のうち、ミナミヤモリとブラーミニメクラヘビは琉球列
島と台湾・大陸東部の両方に分布しており、したがって種レベルの分布パターンから魚釣島と周辺
地域との間の相対的な生物地理学的関係を論じる際の情報源にはならない。特にブラーミニメクラ
ヘビは3倍体の単為生殖種で、物資について人為的に分布を拡大してきたことが強く示唆されてお
り、種内の遺伝的多様性も低く(Ota et al.、1991)、これらの点でも生物地理学的考察を行う際
の情報源としてはあまり期待できないであろう。残る4種のうち、スベトカゲの1種については宮
古・八重山諸島のサキシマスベトカゲS. boettgeriや台湾のタイワンスベトカゲS. formosensisに
極めて類似することが知られているが、これら2種がそもそも相互に極めて類似性が高いこと
(Chen et al.、2001)、魚釣島産の標本が2点しかなく定量的な比較が困難であることから、魚釣
島の標本が上記2種のいずれにより近いかについてはいまだ決定できていない。他の3つはいずれも
種(アオスジトカゲ)ないし亜種(アカマダラ、シュウダ)のレベルで台湾・大陸と共通し、宮
古・八重山諸島の近縁集団とは異なっている。これとは逆、つまり宮古・八重山諸島と共通し台
湾・大陸に見られない分布パターンを示す種は上記のスベトカゲの1種に可能性が残されているもの
の、今のところ魚釣島を含む尖閣諸島の爬虫類には認められない。したがって全部合わせてもわず
か6種ではあるが、爬虫類相の類似度を周辺地域との間で求めると(たとえ仮にスベトカゲの1種が
サキシマスベトカゲの方により近いとしても)、魚釣島を含む尖閣諸島は極めて台湾・大陸に近
く、宮古・八重山諸島とはより遠いことになる(Ota、2000)。そしてこれは、尖閣諸島が大陸東岸
からのびる大陸棚上の水深120m以浅の部分に位置し最終氷期には台湾とともに大陸東岸の一部とな
ったと思われること、これに対し大陸棚から水深200mを優に越える琉球トラフで隔てられ、また台
湾との間も同じく水深200mを越える与那国海峡で隔てられる宮古・八重山諸島が、こうした接続を
一切持たなかったこととよく整合するのである(Ota et al.、1993;Ota、1998)。

  それではこのような他地域にも分布する種・亜種のみからなる魚釣島を中心とした尖閣諸島の爬
虫類相は保全上、あまり価値を持たないのであろうか?答えは否である。昨今、格段の進歩を遂げ
つつある生化学的、分子遺伝学的手法を用いた生物個体群の解析は、分類学において従来実践され
てきた形態形質に基づく変異分析では捉えきれない遺伝的特性が、特に島嶼などの小隔離集団にし
ばしば見られることを明らかにしてきている。こうした特異的な集団の持つ地史的、環境生物学
的、集団遺伝学的意義は様々であるが、保全生物学的視点に立つならば、少なくともこうした集団
が地球上の生物多様性の構成要素として一定の価値を持つことは確かである。実際、尖閣諸島の爬
虫類のうちこれまで遺伝学的解析の試みられた一部の種では、周辺地域の同種集団との間でかなり
大きな遺伝的分化を示唆する結果が得られている(太田・戸田・本川、準備中)。さらに例えばア
オスジトカゲについては、鱗相や色相といった外部の形質においてさえ、魚釣島や北小島の個体群
と台湾の個体群との間での分化が示唆されている(Ota、2004;Ota et al.、1993)。これらのこと
だけを見ても、魚釣島をはじめとした尖閣諸島の爬虫類に対するより深い研究と実効性のある保全
策が必要であることが理解できよう。なお環境省は2006年に行われたレッドリスト見直しの際、尖
閣諸島に分布する爬虫類のうちアオスジトカゲとシュウダの2種を新たに絶滅危惧種(絶滅危惧U
B)に指定している。

d.その他の動物相
  魚釣島の陸生鳥類相は、洋上の孤島であるため種数があまり豊富ではないとされるが、少なくと
も 34 種が知られており(付近海域を除く)、それには環境省(2002b)が準絶滅危惧種に指定して
いるミサゴPandion haliaetusとカラスバトColumba janthinaが含まれている。海岸には環境省
(2002b)が絶滅危惧U類に指定しているアオツラカツオドリSula dactylatraが見られ、周辺の
島々では同じく絶滅危惧U類とされているアホウドリDiomedea albatrus など多くの海鳥が繁殖し
ている(池原・下謝名、1971;池原・安部、1980;環境省、2002b;長谷川、2003)。なお淡水が乏
しいためか、両生類はまったく知られていない(池原・下謝名、1971;白石・荒井、1980)。

  魚釣島の無脊椎動物のうち、昆虫については比較的多くの報告があり(正木、1941;高良、
1954;Kimoto、1964;Kimoto & Gressitt、1966;池原・下謝名、1971;Chujo、1979、1980;池
原・安部、1980;白石・荒井、1980;屋富祖ら、2002)、現在までに50種・亜種(疑問種を除く)
が確認されている(尖閣諸島全体では100種;屋富祖ら、2002)。固有種としては4種が知られ、そ
の他に、尖閣諸島の他の島嶼および宮古・八重山諸島のみと共通する昆虫が3種3亜種、八重山諸島
および台湾のみと共通するものが1亜種(アオバセセリの1亜種Choaspes benjaminii formosana)、
南西諸島の固有種、亜種が2種2亜種知られている。クモ類についてはさほど知見は多くないが、池
原・下謝名(1971)は魚釣島のものを中心とした尖閣諸島のコレクションについて、未記載種の可
能性のあるもの5種を挙げ、他の9 種を八重山諸島−奄美諸島間で、8 種を南西諸島全域の中で新記
録のものとして挙げている。未記載種の可能性が示唆されたうちの1つは最近になってShimojana
(2000)により、魚釣島と南小島からの新種センカクヤチグモCoelotes senkakuensisとして記載さ
れている。

 この他の大分類群にも、魚釣島の固有種がいくつか知られている。まず甲殻類としてセンカクサ
ワガニと等脚類2種が記載ないし記録されており(表1; 等脚類の2種は未記載)、このうちセンカ
クサワガニは最新の環境省レッドリスト(2007年改訂)および沖縄県(2005)によりそれぞれ絶滅
危惧T類およびIA類に指定されている。そしてさらにもう1種、未同定のサワガニ属の存在が示唆さ
れている(諸喜田、2002)。尖閣諸島の陸生貝類として波部(1979)は18 種を挙げており、そのう
ち、魚釣島の固有種としてタカラノミギセルとタカラホソマイマイの2種を記している。この2種と
黄尾嶼との共通種アツマイマイNesiohelix solida、南小島との共通種センカクコギセル
Euphaedusa senkakuensisの4種は最新の環境省レッドリスト(2007年改訂)において準絶滅危惧に
指定されている。さらに沖縄県(2005)はこの4種と久場島(黄尾嶼)との共通種であるゴマガイ属
の1種Diplommatina sp.を準絶滅危惧に、さらに石垣島、西表島、与那国島との共通種マサキベッ
コウBekkochlamys masakiiを絶滅危惧II類に指定している。一方Hasegawa et al.(1993)は、魚釣
島産のセスジネズミおよび外来種のクマネズミRattus rattusから、それぞれ寄生性線虫類2種およ
び9種を記載している。また仲宗根・長浜(1971)は魚釣島から72種の海岸無脊椎動物を報告してお
り、これは同じ報告における尖閣諸島全体(141種)の約半数に当たる。昆虫をはじめとするこれら
の無脊椎動物にはまだ未記載種が多いと考えられ、小型哺乳類の調査を行なった白石・荒井
(1980)は、「我々の片手間仕事の昆虫採集によってさえ、新種と新記録種が続出した」と述べて
いる。

e.植物相
 魚釣島産の維管束植物は、103科244属339種(新納・新城、1980)が記録されており、面積の割に
は植物相が豊かである。前述のように、最終氷期には中国大陸と地続きであったと考えられており
(木崎・大城、1980;木崎、1998;Ota、1998)、中国南部や台湾と関わりの深い種を多数産する。
しかしその一方で爬虫類相の場合とは異なって、植物相の上では琉球列島、特に八重山諸島に最も
深いつながりがあり、固有種や植物地理学上の貴重種が多数生育している(黒岩、1900;多和田、
1954;初島、1973、1991;表2)。固有植物にはセンカクアオイなど3種、センカクツツジなど2変種
があり、その他にキク科とラン科に未記載の固有変種が発見されている。これらの近縁種は、台
湾、中国南部、または八重山諸島に分布している。日本では魚釣島のみに産する植物にマルバコケ
シダなど3種、センカクトロロアオイなど3変種があり、これらの多くは国外では台湾やフィリピン
に分布している。なお、コウトウヒスイランは、花や果実をつけていない個体をもとに黒岩
(1900)により報告されたが、その後は確認されていないことから、魚釣島に豊富に産するイリオ
モテランを誤認した可能性が高い。魚釣島が分布の北限となっている植物に、ボウカズラなど5種、
ナンゴクキケマンなど3変種がある。これらの種の多くは、八重山諸島や台湾以南の東南アジアに分
布している。南西諸島では魚釣島のみに産する種に、オオミズゴケなど4種があり、それらはいずれ
も日本本土、台湾、中国南部に分布しており、このことから琉球列島を経由せず、直接中国大陸か
ら分散してきたと思われる。この他、琉球列島では魚釣島と他のごく少数の島嶼に限って分布して
いる種や亜種・変種に、キンショクダモなどがある(表3)。このように魚釣島は植物地理学上極め
て重要な島である上に希少な植物も多く、沖縄県版レッドデータブック(沖縄県、1996)では、絶
滅危惧種9種、危急種21種、希少種4種が、その改訂版(沖縄県、2006)では絶滅危惧IA類21種、IB
類4種、II類8種、準絶滅危惧5種、情報不足3種が魚釣島に産するとされている。





表2.魚釣島における生物地理学上特記すべき植物

魚釣島の固有種・固有変種
ウマノスズクサ科 センカクアオイAsarum senkakuinsulare
オトギリソウ科 センカクオトギリHypericum senkakuinsulare
イソマツ科 センカクハマサジLimonium senkakuense
ツツジ科 センカクツツジRhododendron simsii var. tawadae
イネ科 ムラサキチヂミザサOplismenus compositus var. purpurascens


国内では魚釣島にのみ産する種・変種
コケシノブ科 マルバコケシダMicrogonium bimarginatum
イネ科 コハナカモノハシIschaemum setaceum
ラン科 コウトウヒスイラン(クロイワラン)Vanda lamellata
アオイ科 センカクトロロアオイAbelmoschus moschatus var. betulifolius
ガガイモ科 マメヅタカズラDischidia nummularia var. rhombifolia
キク科 タカサゴアザミCirsium japonicum var. australe


魚釣島が分布北限の種
ヒカゲノカズラ科 ボウカズラLycopodium laxum
シシラン科 ヒメシシランVittaria angusteelongata
ラン科 リュウキュウセッコクEria ovata,
  イリオモテラン(ニュウメンラン)Trichoglottis ionosma,
  オオキヌラン(センカクキヌラン)Zeuxine nervosa


魚釣島が分布北限の変種
ケシ科 ナンゴクキケマンCorydalis heterocarpa var. koidzumiana
ガガイモ科 ケナシツルモウリンカTylophora tanakae var. glabrescens
キク科 テリハノギクAster taiwanensis var. lucens


南西諸島では魚釣島にのみ産する種                                        
ミズゴケ科 オオミズゴケSphagnum palustre
ブドウ科 ノブドウVitis brevipedunculata,
  ツタParthenocis sustricuspiddata
ヤブコウジ科 ヤブコウジArdisia japonica


南西諸島では魚釣島と他のごく少数の島嶼にのみ産する種
ジンチョウゲ科 コショウノキDaphne kiusiana
モクセイ科 ナタオレノキOsmanthus insularis 
クマツヅラ科 ハマクサギPremna microphylla
サトイモ科 アイノコクワズイモAlocasia indica
カヤツリグサ科 イソヤマテンツキFimbrystylis sieboldii


南西諸島では魚釣島と他のごく少数の島嶼にのみ産する変種・亜種
クスノキ科 キンショクダモNeolitsea sericea var. aurata
ツゲ科 タイワンアサマツゲBuxus microphylla subsp. sinica

(沖縄県、2006ほか) 




  3.魚釣島へのヤギの導入に関する経緯
         および在来生物相に及ぼす影響

a.魚釣島へのヤギの導入とその後の経緯 
 魚釣島にヤギが導入されたのは1978年で、日本の民間政治団体によって雌雄各1頭が与那国島から
持ち込まれ、故意に放逐された。導入の目的は、同時に行われた建造物(一般には「灯台」と呼ば
れている)の設置とともに、「領有権の主張のための既成事実づくり」とされている(1993 年6 
月 3 日付中日新聞)。これ以前にも魚釣島でヤギが野生化していたことがあると伝えられていたが
(高良、1954)、何らかの理由で死滅したものと考えられる。ヤギが持ち込まれた翌年の1979年に
は、沖縄開発庁の主導による上陸調査が行われ、雌雄の成獣と 2 頭の幼獣、計 4 頭が目撃されて
いる(池原・安部、1980;白石・荒井、1980)。1991年に行われた現時点で最新の上陸調査では、
洋上から島の南斜面だけで約 300 頭が目撃されているが(横田、1998)、この頭数は採食のため森
林から出てきた個体のみを数えたものであり、実際には北斜面や森林の中にさらに他の個体がいた
可能性が高い。

 1999年には朝日新聞社の航空機による上空からの現地取材が実現し、著者らも同行した。詳細は
Yokohata(1999)および横畑・横田(2000)で報告したが、島の北西部の崖上に存在していた草地
の拡大や、ビロウ林の林縁植生の消滅が観察された。

b.リモートセンシングによる魚釣島の現状把握の試み
 現在、領有権に関する問題によって、魚釣島への上−陸は極めて困難となっている。上陸を伴わ
ずにある程度島の現状を知る方法に、空中写真や人工衛星画像によるリモートセンシングがある。
Yokohata et al. (2003)は特殊な高解像度人工衛星の一つであるイコノスの画像を用い、魚釣島
の現状の把握を試みた。それまでの人工衛星では10m離れた地上の2点が画像上で識別できる程度で
あったのに対し、イコノス衛星では約80cm離れた2点が識別できる。画像分析の結果、ヤギの影響に
より裸地化したと考えられる部分は、平面図上で魚釣島全域の12.37%を占めていることがわかっ
た。また、最近では地上で約60cm離れた2点が識別できるクイックバード衛星が使用可能になってお
り、この衛星による観測では、2000年から2006年までに南斜面で新たな崖崩れが相次ぎ、その最大
のものは幅150mに及んでいた(横畑ら、2008)。このように、衛星画像技術の進歩によってかなり
の情報が得られるようになってはいるが、島の大部分は厚い樹冠に覆われた森林であり、その地表
の状況をこの方法で直接知ることはできず、やはり上陸調査を行う必要がある。 


c.魚釣島の動物相に及ぼす影響
 魚釣島においてヤギの増加が動物相にどのような影響を与えているかについては、具体的な知見
や資料はまったく存在しない。したがってここでは、予測される影響を簡単に挙げるのにとどめ
る。

 まず考えられるのが、ヤギの採食や踏圧による植生の破壊を通した植物食の動物への影響であ
る。植物の現存量や種多様性の低下が、昆虫類をはじめとする在来の植物食の動物群集に大きな打
撃を与え、多くの種に対し個体群の存続を危うくしていることは想像に難くない。次に植物やその
遺体、さらにその分解産物がもたらす様々な生息環境を利用する動物、例えば花の周辺で獲物を待
ち伏せる一部のクモ類や、日中倒木の下に隠れ乾燥から身を守る陸生貝類、植物が分解することで
生じ植物が根を張ることで維持される土壌の中を住み場所とするセンカクモグラや多くの節足、環
形動物、さらにはこうした土壌に貯えられる天水で維持される湿性、陸水性環境に依存するサワガ
ニ類や水生昆虫なども、植生の破壊と野生化ヤギの排泄物による水質悪化によって深刻な状況に追
い込まれていることが考えられる。また、前述のように尖閣諸島では現在一部の島嶼でアホウドリ
の繁殖が確認されており、繁殖地の増加が望まれている。それには最大の島嶼である魚釣島での繁
殖が欠かせないが(長谷川、2003)、ヤギの影響は、これを著しく妨げるであろう。

d.魚釣島の植物相に及ぼす影響
 新納・新城(1980)は、ヤギがシャリンバイRhaphiolepis umbellata、トベラPittosporum 
tobiraなど24種の植物を食害していることを報告している。1991年の上陸調査では、ビロウ、アダ
ンPandanus tectrius var. liukiuensisなどを採食していることが確認されている(横田、
1998)。魚釣島の北西部に存在していたハチジョウススキMiscanthus sinensis var. condensatus
群落や海岸の植生はヤギの集中的な採食を受けて1991年にはほとんど見られず、裸地が拡大してい
た。また、奈良原岳の山頂部から海岸まで、ヤギの歩行と採食によって生じた多数のヤギ道が確認
され、さらに船からの観察では、前述のように奈良原岳の南斜面の断崖にも多数のヤギが目視確認
された。船着場付近の水場の水はヤギの糞による異臭があり、飲用に供することができなかった。
かつては魚釣島でも観察され、近隣の黄尾嶼では現在も豊富に生育しているキク科のホソバワダン
Crepidiastrum lanceolatumは、この調査では注意して探索したにも関わらずまったく見られなかっ
た。 ホソバワダンと同様に海岸の岩場に生えるセンカクハマサジ、タカサゴアザミ、コハナカモ
ノハシ、イソヤマテンツキなど、また海岸の砂浜に生えるセンカクイトロロアオイなどは、すでに
ヤギの食害により絶滅した可能性が高い。島内各地のビロウ林内でヤギが確認されたことから、林
床に生えるヤブコウジ、テリハノギク、ムラサキチヂミザサ、オオキヌランZeuxine nervosa、さら
にはビロウの幼木なども食害や踏圧により激減または消滅している可能性が高い。そのため現在、
高木層を形成する個体が死滅するとそのまま更新が起こらず、森林が消失あるいは後退することが
予想される。森林の荒廃が進めば、樹上に着生するため直接ヤギの食害を受けることはほとんどな
いであろうボウカズラ、マルバコケシダ、ヒメシシラン、マメヅタカズラ、イリオモテランなどの
着生植物も徐々に消失あるいは衰退すると思われる。奈良原岳の南斜面の断崖にもヤギの生息が確
認されたことから、この環境に限って生育することが知られているセンカクオトギリ、ノブドウ、
ツタなども大きく影響を受けている可能性が高い。魚釣島でわずかに認められる陸水も、ヤギの個
体数増加により大きく影響を受けていると思われ、1991年の調査時にキャンプ地近くの流れが強い
アンモニア臭のため飲用に供することができなかった(横田、未発表)ことから、ヤギの糞からの
窒素分の加入などにより水質が悪化していることが予想される。有機物が少なく酸性の陸水に強く
依存するオオミズゴケの生育する湿地は、水質の悪化により消失している可能性が高い。このよう
に、ヤギの個体数の増加にともなって、植物相と植生に極めて深刻な影響が様々な形で生じている
ことが予想される。



   4.魚釣島の野生化ヤギ問題への取り組み

 上記のように、固有種など固有の分類群を少なからず擁する尖閣諸島、中でも魚釣島の陸域生態
系の価値は、生物多様性保全の観点から高く評価されるべきであることは疑う余地がない。しか
し、いわゆる領有権問題のため、現状に関する調査や必要な対策が困難になっている。その影響か
らか、魚釣島のヤギの問題に積極的に取り組もうとする研究者や市民団体は少なく、何よりも生物
多様性条約に批准し、自国の生物多様性の保全に関して世界人類の付託を受けた立場にあるはずの
日本国政府そのものが、残念ながら下記のように、主権国家であるにも関わらずこの問題に対し驚
くほどに消極的である。その結果、関連する情報の発信や問題提起はもっぱら著者らが、研究活動
やその成果の普及活動、学会での委員会活動などを通じて行なっているに過ぎない有様である。著
者らはこれまでに公開集会での緊急アピールの採択(横畑・横田、2000)、学会での自由集会の開
催(横畑・横田、2000;横畑、2003)などを行い、2001年11月2日には広島大学総合科学部で開催さ
れた広島大学平和科学研究センター・総合科学部環境科学共同セミナー研究会において、講演「領
土問題と野生生物保護 -尖閣諸島魚釣島のヤギ問題の場合」を行なった(座長は広島大学 中越信和
教授)。この講演が本報告の直接の契機となっている。このように、様々な機会をとらえて集会や
講演活動を行なうことは、単に聴衆にこの問題を訴えるだけでなく、新たな研究を進め、その成果
を公表するための機会を確保する上でも有意義であった。
 こうした活動やリモートセンシングによる研究などが契機となって、日本哺乳類学会は2002年度
大会において「尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの対策を求める要望書」を採択し、環境省、外務省、
沖縄県および石垣市に提出した。その翌年、日本生態学会および沖縄生物学会も同様の要望書を採
択し、環境省などに提出している(横畑、2003)。また、2001年には国会議員から日本政府に対し
て政府の認識をただしヤギの除去の意思を問う質問趣意書が提出されているが、いずれも政府の見
解は消極的であった(横畑、2003)。その後日中関係は戦後最悪と言われるまでに悪化し、上陸調
査やヤギの除去はいまだに実現していない。尖閣諸島文献資料編纂会(2007)は、尖閣諸島の自然
環境に関する多くの知見を紹介しているが、野生化ヤギの問題についても詳しく触れ、沖縄県下に
離島のヤギの捕獲を希望する民間人が多いことから、彼らに魚釣島への上陸を許可するだけでも多
数のヤギの除去が実現する可能性を指摘している。2008年には、石垣市議会もヤギの除去について
日本政府に独自の要請を行っており、地方行政サイドからの初めての動きとして評価されるが、明
確な反応は得られていない。


謝辞 
 2001年の広島大学における平和科学研究センター・総合科学部環境科学共同セミナー研究会にお
ける発表と本稿執筆の機会を与えていただいた同センター 松尾雅嗣教授、篠田英朗准教授および同
大学大学院国際協力研究科 中越信和教授に厚くお礼申し上げる。
 本稿の内容の一部については、日本科学者会議研究助成基金(1999年度)、住友財団環境研究助
成(2001〜2002年度)ならびに文部科学省科学研究費助成金(基盤研究B 18310153、C 19510027)
の援助を受けた。 


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